長崎の歓楽街のひとつの思案橋。
歌にもなった昭和レトロな渋い飲み屋街だ。
表のほうは整備もされ華やかな感じですが、
ここは路地裏がとてもディープなんです。
壁面の汚れに加え、室外機や換気扇のフード、貼り物、看板などの煩雑さは強烈で、いい意味で無茶苦茶だ。
この雰囲気だけで、色んな時代をがむしゃらに生き抜いてきたことが伺える。
そこに未だ営みがあるということも素晴らしい。
長崎の戦後は、原爆により甚大な被害を受け焼け野原となり、長崎の鉄道軌道上に
一斉にバラックが建ち並び、闇市が開かれていました。
もちろん立ち退かされることになったが、
その時に思案橋の闇市は、市内を流れる銅座川を暗渠にして立ち退き先としたのだ。
去年、闇市が走りである商店街、「銅座市場」で崩落事故が起きた。
それを受けて本格的に解体する方向になったらしい。
こういう歴史的なプロセスが特質した町並みは、解体に関して苦渋の決断があったと思う。
でも、バラックから始まったものが、この時代まで続いたことはすごいことだ。
中には、解体がこれまで生きて来たことを否定されたと感じる方もいらっしゃるだろう。
どうにかして一部だけでもカタチとして残したいものだと考えてしまう。
Sakou
九州唯一、丹下健三の建築である「日南市文化センター(宮崎県)」。
昭和37年、もうまさに日本でモダニズム建築が建ちまくっていた時代の建築です。
斜めのコンクリート壁で構成された建築で、
窓の袖壁のデザインなど色々なところが直線的なカタチになっています。
大小さまざまなマドがあります。時々、大きなマドにはアールがついていたり、、
空間にリズム感があり、飽きがこない。
隅っこのほうにも小マドが、、
とにかく何でもない空間にもデザインに対する配慮が多数みられます。
どこにも妥協がありません。
腰掛けて写真を撮るとインスタ映えしそうなカタチのマド。
担当者の方にお願いして、内部を見学させていただきました。
斜めの壁と光の当たり具合で視覚的に変化する壁面もなかなかいい感じです。
・・・
外観の壁面が汚れてしまっているのが少し残念です。
公共的なものになってしまうとなかなか行き届かないところなんでしょうか。
これから先は、こういった築50年を超えた建築が、
その価値について、新たに見出したり、改めて認識されていくと思います。
まずは身近にいる人たちが、その価値に気づき、誇りに思うことからですね。
Sakou
築52年 閉鎖後10年がたった「旧都城市民会館」
日本のモダニズム、特にメタボリズム建築の代表ともいえる
菊竹清訓氏設計による特徴的な建物であるが、再び存続の危機にたっている。。。
市から無償貸与で管理していた南九州学園から返還の意向があり、
以前のように維持が困難な状況らしい。。
まさかとはおもうが、このままでは解体もありうるのか。。。。
と思い、久々に立ち寄ってみた。。。
相変わらず異彩をはなつフォルムだ!
迫力がすごい!
しかし、近寄ってみると内部ホールにも剥落がみられ、マド周りも老朽化が目立つ。。。
改修費と年間200万円の維持費という問題は、そう簡単に解決できそうにないようだ!
建物が完成してからどのように使われ、どのように維持されていくのか。。。
いろいろと考えさせられる事例です。。。
せめて、一般開放され、内部隅々まで見学できるような施設になってくれることを期待したい!
by 一丁田
こんにちは。酒匂です。
鹿児島県には、建築として価値が認められた建物がいくつかあり、
その中には、鹿児島市内に建っているものもあります。
その一つとして、中央公園の横に建っている
「鹿児島市中央公民館(旧鹿児島市公会堂)」があります。
旧鹿児島市公会堂は、昭和2年に完成しました。
設計は、辰野金吾の弟子、片岡安。
ゴツい壁にちっちゃい窓、アーチをデザインとして取り入れた、ロマネスク様式の建築です。
1階出入口上部は3つの円形アーチですが、
2階の窓の上部は肉まんのようなシルエットの尖塔アーチも取り入れた欲張りなデザイン!
尖塔アーチは円形アーチよりも新しいゴシック風のカタチで、
その両方を取り入れた変わった試みがみられます。
石造のピラスター(付け柱)は、昭和初期ならではの重厚感でアーチのデザインもなんか面白い。
使っている石は、ブラタモリの鹿児島編でやってたように溶結凝灰岩なのでしょうか?
持ち送りは繰型を象ったもの。模様は何を描いているのかさっぱり分かりません。
建物によってお花や幾何学模様だったり色々あって、
その時代に流行ったデザインが使われるので、よく見てみると面白いですよ。
古い洋館といえばモルタル仕上げのドイツ壁。荒々しくてかっこいい仕上げです。
実は、こんな外観をしておいて、グーグルマップで建物を見てみると、瓦屋根なんです。
昭和初期の洋風建築は、特に鹿児島では過渡期であったと思います。
まだまだ造り慣れた在来の工法を併用しながら建築しました。いわゆる擬洋風の建築です。
いろんな試行錯誤があり、当時の仕事を想像することができます。
意外と身近にあったりするんですよ。その話はまた次回にでも。
Sakou
北九州市立図書館
ここも「図書館戦争」ロケがおこなわれた施設
アーチ状の屋根がそのまま室内天井となっている。。
自然光がほどよく差し込み、構造体とは独立した開架書架がなんとも美しい。。。
規則的に並んだヴォールドのPC梁が 室内空間を引き締めると同時に、
かわいらしい かまぼこのような外観を作り出している。。
こんな素敵な図書館で本を読めるなんて、幸せな人たちだ。。。。うらやましい!
隣接する文学館もこんな感じです。。。
そして、圧巻のステンドガラス。。。
この空間に この演出。。。天才だ!
市内中心の公園内に位置する図書館だが、室内から見える景色はごく一部のみ。。。
せっかくの景色をみせることも考えられただろうに、あえてのクローズぶり。。。
なにもかもが勉強になる施設なのだ!
みなさんもぜひ立ち寄ってみてくださいね。。
撮影許可もとりましょう。。。
by 一丁田
ここ2年間ほど改修工事がおこなわれていて昨年リニューアルOPENした
「北九州市立美術館」へ。。。
磯崎新氏設計による初期の美術館だ。。。
図書館戦争の映画ロケにつかわれたことでも有名。。。
外観から屋内の細部にわたり、すべてにグリッドが意識されていることが特徴的。。。
壁のコンクリート目地やタイル目地、ガラスの割り付けなど。。。
正方形グリッドの倍数でこの建物は成り立っているのです!すごい!
しまいには、2階のカフェにつながる回廊の天井もこんな感じである!
特徴的な建物正面に付きだした部分はギャラリーになっているが、
ここは、現在展示なしで入場できず。。
それにしても、下からみると このはね出しはすごすぎる!
改修前のオリジナル状態で見たかった気もするが、この空間構成を体感できて満足!
次の建物探訪へ移動します!
by 一丁田
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